私は大学生のときに、KIM(キム)式英文速読法という本を読んで英文の速読に挑戦したことがあります。
当時は翻訳の仕事をしようなどと思ってもいませんでした。
何となく「速読ができたらかっこいい」と思っただけです。
しかし残念なことに、けっこう時間をかけて練習したのですが、まったく上達しませんでした。
考えてみたら当然です。
当時の私は完全に英語力不足でした。
ゆっくり読んでもよく理解できない英文を速読できるわけがありません。
まずは、普通のスピードで英文を理解できるようにするべきだったんです。
今、翻訳の指導をしていて、たまに「英文速読を練習したほうがいいか?」と質問されることがあります。
当然ながら、私の答えはNOです。
なぜなら、繰り返しになりますが、そもそもスラスラと読める英語力がなければ速読は身につかないので、まずは普通のスピードで正しく理解する練習をするべきだからです。
ただし、翻訳作業を始める前に文章の概要を理解していると少し楽になります。
ですので、
- 目次や要約がある場合は、最初に読む。
- タイトルや要約に出てくる重要語の意味を調べる。
といった下準備は、かなり役に立ちます。
そのうえ、練習を一切しなくてもできるので時間のムダがありません。
翻訳のために英文速読を練習するというのは、正しい方向のように思えるかもしれませ。
でも、すでにネイティブのようにスラスラ読める人以外には、無駄な努力に終わる可能性が高いのでおすすめしません。