翻訳を学ぶときに、英日と日英のどちらを先に学ぶべきだと思いますか?
私が運営する翻訳講座の説明会などで参加者の話を聞いていると、英文を書くのは苦手だから英日をやりたいという人が主流のようです。
でも、ネットで検索していると、日英から始めることをすすめている人もいます。
その理由は、
十分な英語力がない段階では英文を正しく理解できないので、正しく理解できる日本語の文章を
英語に訳すことから始めた方がいい
というものです。
また、自分で英文を作っていると、英文を読むときには読み流してしまう冠詞や前置詞などを意識することになるので、英語力アップにつながる
という説明です。
確かに、一理あるように思えます。
ただ、仕事として翻訳をするならば、日英から始めるのはかなりの遠回りになる可能性があります。
なぜなら、プロ翻訳者としてお金を受け取れるレベルの英文を書けるようになるには、かなりの期間がかかるからです。
確かに、日本語の文章を読むのに苦戦することは少ないでしょう。
でも、それを英文に訳すときに、中学生や高校生がする「和文英訳」レベルの英文では
仕事の依頼はありません。
ネイティブの読者が読んで納得できるレベルのこなれた英文を書く必要があるのです。
そのレベルに半年や1年で到達できるだけの英語力をすでにお持ちなら、日英から始めるのもいいでしょう。
でも、そうでないなら、英日から始めた方が圧倒的に短期間に仕事ができるようになります。
英文を書くよりも英文を読む方が簡単ですし、日本語の文章を書くのは、私たち日本人にとってはそれほど難しくないからです。