戸田さん、いつもお世話になっております。○○です。

添削課題の中で毎回指摘される、「原文を忠実に訳す」ことができません。

四苦八苦しながら毎回課題を提出していますが、忠実に忠実に、と訳文を作っているつもりです。

原因がわかりません。どう訳したら良いか、取り掛かったら良いか、もうわからなくなりました。

いつも添削課題の中でアドバイス頂いてますが、あのアドバイスがすべてだとわかっているのですが、実力不足だということもわかっているのですが、どうしたら「原文に忠実な訳文」だと判断してもらえるのですか? 全くステップアップできず、とどまっている感じがすごくイライラします。
お返事お待ちしております。
よろしくお願いします。

 

こんにちは。戸田です。
メールをありがとうございます。

以下のとおりお答えします。

> どうしたら「原文に忠実な訳文」だと判断してもらえるのですか?

 

原文に忠実というのは、学校で習う英文法に従って訳すということです。

文法どおりに訳してください。

どうすれば文法どおりに訳るのか分からない場合は、中学・高校で習う文法を復習する必要があります。

実務翻訳は、小説や映画の翻訳とは違い、原文への忠実性がものすごく重視されます。

ビジネス文書が意訳されたとしたらどうなるか想像してください。大きな誤解が生じて大きなトラブルが発生する可能性があります。

そうならないために、原文への忠実性が求められるのです。

日本語に訳された文を見たら、どんな原文かを想像できるくらいの忠実さが必要とも言われています。

もちろん、日本語として不自然な訳文ではなく、日本語として不自然にならないレベルの訳文である必要があります。

原文に忠実でありながら、日本語として不自然でなく訳す。そこが難しいところです。

原文への忠実さを守る手段としては、以下を参考にしてください。

1.辞書に載っている訳語だけを使う。

記憶に頼って訳語を選ぶのではなく、何度も何度もマメに辞書を引いてください。

私が翻訳の勉強をしていたときは、師匠から「雰囲気で訳すな。」、「すべての単語を辞書で調べろ」と言われました。

すべての単語を辞書で調べるなんて無茶を言うな、と思いましたが、お金を受け取れるレベルの文章を書くには、それくらいは絶対に必要です。

また、私は今でも、毎日、何度も何度も英和辞典を引き、さらに広辞苑で言葉の意味を調べています。

翻訳者は「言葉のプロ」ですので、普通の会社員が文章を書くのとは求められるレベルが違うということを意識しましょう。

なお、辞書に載っている訳語ではどうしても文脈に合わない場合だけ、訳語を工夫してください。その際は、申し送りに書いておきましょう。

2.文法どおりに訳す。

文法どおりの訳では文脈に合わななったり、意味が分からない場合だけ、訳を工夫してください。その際は、申し送りに書いておきましょう。

なお、仕事のときには、翻訳した文は、翻訳会社のチェッカーが原文と付き合わせて見直しをします。

このとき、文法を守って訳されていなければ、原文と訳文の付き合わせが非常に困難です。

見直しが困難な翻訳文を作る翻訳者には仕事の依頼が来なくなります。

> 全くステップアップできず、とどまっている感じがすごくイライラします。

 

原文に忠実な訳がうまく作れないというのは、○○さんだけでなく、誰もが経験しています。

だからこそ講座で勉強する必要があるのです。

実際に私は、ほとんどの受講生さんに同じコメントを繰り返し繰り返し書いています。

繰り返し繰り返し同じことを指摘されて、やっと少しずつ上達するのです。

翻訳のスキルというのは、一気に上達するものではなく、紙を1枚ずつ重ねるるように、少しずつ少しずつ上達するものです。

毎回の課題をしっかりとこなして上達しないということはありえませんので、自信を持って取り組んでいただけたらと思います。