カタカナ語訳を使うときの注意点
英語を片仮名に訳すときは注意が必要です。
たとえば「approach」という単語を「アプローチ」とそのまま訳す人が、かなりいらっしゃいます。
でも、ここで考えてください。
英語を勉強している人以外で、「アプローチ」という言葉に「方法」という意味があることを知っている人は、どれくらいいるでしょうか?
おそらく、
「アプローチ」=「方法」
と理解できる人は、あまりいないでしょう。
翻訳の勉強をしているあなたは、英語に詳しいので理解できるでしょう。でも、他の人には理解できないのです。
片仮名語を使うときは、必ず「英語を勉強していない人でもすぐに理解できること」を意識してください。
たとえば、文脈から判断して「world-class assets(世界クラスの資産)」を「世界クラスのシステム」と訳したとします。内容的には、この訳でも問題ないと想定します。
この訳では、「asset」=「システム」という訳語を使ったことになります。
しかし、「asset(資産)」という言葉には、本来、金銭的な資産もあれば、人的な資産もあります。だから、「システム」だけに限定するのは間違いです。
また、同じ文中に「system」という単語が出てきたときに、どう訳したらいいのでしょうか?
「asset」=「システム」
「system」=「システム」
というように、別の単語に同じ訳語を使うことになります。
このような訳語の割り当ては、原文作者の意図を捻じ曲げていますし、訳文を読んだ読者が混乱してしまいます。
だから、別の単語の訳語として使われる片仮名語は使わないようにしましょう。